留学生はアルバイト「28時間ルール」の徹底を

〜「資格外活動」許可違反は就職・進学に決定的な悪影響〜

 

 

 

 夏休みシーズンは、飲食店やコンビニなどでアルバイトする外国人が特に多い時期だ。留学生の場合、学業に支障がなく、また禁止された場所や職種で行われる場合を除き、資格外活動の許可を得た上でアルバイトに従事することが認められているが、その時間数には週28時間以内(学校が学則で定める長期休業の期間中は18時間まで)という上限が設けられている。

 ところが最近、このルールを遵守せず制限時間を超えて働いていたことが原因で、在留申請が不許可となったり、卒業後に採用された企業に就職できなくなる事例が目立つ。これら不許可案件の大半は、本人が当初から法律違反という自覚を持ちつつも、それがもたらす結果や影響について事前にきちんと認識できていないことが一因とみられる。

 本稿では、最近本紙に寄せられた留学生の相談内容や、在籍校の留学生担当者などから得た情報をもとに、いわゆる「28時間ルール」を取り巻く現状と課題にアプローチした。

 

「大丈夫だと思って」が致命傷に

 

 来春の大学卒業を控え、すでに日本企業の採用内定を得ている留学生から、資格外活動に関する匿名の相談が本紙に寄せられた。現在、学業と並行してアルバイトに従事しているが、その勤務時間が法律で許可された上限を超えており、就職の際に必要な在留資格変更の手続きに影響を及ぼす可能性があると聞いて、相談してきたのだ。聞けば、新学期に入ってから過剰に働いており、月収が20万円を超えた月もあるという。本人は「28時間ルール」に則して「(時間超過は)ダメだと分かっていたが、周囲に同じような留学生がいたので大丈夫だと思ってやってしまった」とホンネを漏らす一方で「大学の授業にはきちんと出席しており、成績は良好。就職の内定先も知名度の高い大企業なのだが」と「情状酌量」の可能性に期待を隠さない。スタッフからは、資格外活動許可違反は、在留資格の申請結果に大きな影響を及ぼすとの厳しい見通しを伝え、まずは大学か入国管理局に相談するよう勧めるしかなかった。

 所変わって、ある専門学校。この春、日本企業への入社が決まっていた卒業生に、就労を目的とした在留資格変更が許可されない事態となり、大学や就職先企業の関係者は慌てふためいた。在学中の成績は極めて良好で、外国籍でありながら見事採用内定を得た、いわば模範学生だったからだ。学校関係者が最寄りの地方入国管理局に理由を聞きに行ったところ、以前日本語学校に在籍していた頃に、所定時間を超えるアルバイトをしていたことが確認できたためだと分かった。結局、そのまま日本に留まることは認められず、この卒業生はいったん本国に帰国し、企業を通じて在留資格の取得手続きから改めてやり直すことになったという。

 

進む情報把握 資格外活動の監督を強化

 

 昨夏、新たな在留管理制度がスタートして以降、こうした事例は後を絶たない。背景には、資格外活動許可の内容を記載した在留カードが導入され、法務省が在留審査を通じ行っていた情報管理と、各市町村が従来「外国人登録制度」を通じて行っていた情報管理が、入管法の元に一本化されたことがある。留学生が法定時間を超えるアルバイトに従事していたような場合、各市町村が入手する所得情報や、在留資格申請の際に本人が提出を求められる納税証明書などを通じて容易に把握できるようになったのだ。加えて法務省は、厚生労働省が持つ企業の雇用情報もシェアしていると言われ、企業に対しては外国人アルバイトを雇用する際に在留カードのチェックを強く求めるなど、複数のルートで違法行為の取り締まりに力を入れている。

 これについて事情に詳しい行政書士は「最近は資格外活動許可違反に対する当局の姿勢が特に厳しさを増している」と語った。アルバイトの収入額などを基準に、過去の在留期間中、一時期であっても「専らアルバイトをしていた」と判断された場合、その後の在留申請は軒並み不許可となっているのが現状だ。冒頭の事例のように、例え学校の出席状況や成績がどれだけ優秀であろうが、卒業後の就職や進学先が決まっていようが、所定時間を明らかに超過していた場合は、その後の在留審査に影響を与えることが避けられないとみて良さそうだ。

 

ルール違反の代償は大きい

 

 そもそも根源的な原因は、当事者たる留学生の側にある。違反者に共通する傾向として、資格外活動の時間超過に対する受け止め方が、あまりにも軽すぎると言わざるを得ない。本人にはルールに違反しているという自覚がないわけではないのだが、よもやそれが自分の将来や人生設計に影響するとまでは思っていない節がある。来日してから各人なりの努力を積み重ね、学業に粉骨砕身し、ようやく将来の見通しができて、さあこれからという段階で、日本にいられなくなってしまっては、全てが水の泡ではないか。

 本稿で紹介した事例以外に、不交付となった留学生の中には、アルバイト先の上司から人手不足を理由に残業を強要され、仕事を失うのが怖くてずっと超過勤務を続けていたとするケースもあったが、こうした個別の事情は、言うまでもなくルール違反の免罪符とはなり得ない(新たな制度では違法アルバイトの雇用者についても法的な罰則が強化されている)。また23か所を掛け持ちして働いていれば、全体として法定時間を超過しても分からないだろうと甘く考えている留学生も時として見受けられるが、在留中の就労状況は、収入などを通じほぼ完全に把握されているということをあらかじめ明確に認識しておく必要がある。

 

学校関係者を通じた啓蒙も必要

 

 留学生の自覚と共に、違反事例を減らしていく上でポイントとなるのは、在籍校の関係者を通じた「28時間ルール」の具体的な周知徹底を図っていくことだろう。

 奇しくもここ数年、日本と貨幣価値の差が大きい発展途上国からの留学生が急増している。学費や生活費を捻出するために、過剰なアルバイトに走り、決められた制限時間を逸脱することがないよう、オリエンテーションや留学生会などを通じた継続的な指導態勢づくりが急がれる。単に資格外活動許可申請の手続きや時間制限だけではなく、ルール違反がどういった事態をもたらすのか、入管法の罰則(※参照)について過去の実例を交えながら丁寧かつ具体的に説明することが求められよう。

 

 最後に、ここまで述べてきたような事例は、留学生全体の中で言えばごく一部であり、大多数の留学生はきちんとルールを遵守し、決められた枠内で学業とアルバイトとの両立に努力していることを強調しておきたい。

 

※入管法第191項、第244項イの規定により、留学生が資格外活動を受けることなくアルバイトを行ったり、認められていない場所で、ないしは制限時間を超えて働いていた場合には罰則の対象となるほか、特に報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められるときは、退去強制事由に該当する。