2014大学特集TOPICS 各大学発

2014大学特集TOPICS・各大学発》

私大の留学生募集 グローバル対応が課題に

 

 

 

 今年度(13年夏〜14年春)に実施される入試で、留学生の積極募集を行う私立大学の顔ぶれが出揃った。グローバル化の趨勢に合わせ教育内容を見直す大学もあれば、秋入学制度や英語による授業の導入、ダブルディグリーなど制度面の国際化を模索する動きも相次いでいる。一方で新たな学生寮を立ち上げたり、キャンパスを集約するなど、日本人学生と留学生双方を意識した展開も目立つ。「2014大学特集」にあたり、各校発のトピックスをまとめた。(本紙大学取材班)

 

★グローバルに活躍できる人材を育てる 

 

 昨今、益々進行している企業ビジネスの国際化に対応し、大学教育の現場ではグローバルな舞台で活躍できる人材を輩出しようとする取り組みが本格化している。

 

 愛知大学は、前身時代の流れを汲む現代中国学部で日中友好の架け橋となる人材の養成に力を入れてきたが、近年複雑さを増す両国関係を念頭に、日本を深く理解した上で相手国に説明し対話できる能力の修得を目指した「さくら21プロジェクト」を始動させた。日本文化理解のための科目を充実させ、かねてから定評のある語学力養成や中国現地プログラムとも協働させつつ展開する。愛大の試みは、平成24年度、文部科学省のグローバル人材育成推進事業に採択されており、日本発の対話・発信能力を底上げする教育内容は、将来日中間のビジネスに携わることを希望する中国人留学生にとっても、魅力的なものとなりそうだ。

 

 日本の文化や社会システムをグローバルな視野で理解できる若者を育てようとする試みは、総合大学の間でも顕著だ。明治大学では今春立ち上げた中野キャンパスに、多くの留学生が学んでいる国際日本学部の拠点を移した。同学部は世界的に注目されている日本のポップカルチャーに関するカリキュラムを設置するなど、独自の教育を行っている。中野キャンパスには、9つの研究科から構成される大学院国際日本学研究科、4月に新設した総合数理学部、更には先端数理科学研究科やその他研究機関なども置かれ、国際化の拠点としての役割を担う。

 

 明大と同じく、新たなグローバル戦略の拠点を中野に設けるのは、国内最多の留学生受け入れ数を擁する早稲田大学だ。20143月に新装オープンする国際学生寮「早稲田インターナショナルスチューデントハウス(WISH)」では、約900名の留学生と日本人学生が共同生活を送る構想が具体化しつつある。早大は世界各地から集まった、多様な価値観を持つ若者が共生することにより相互理解を深め、共に世界に貢献できるグローバルリーダーに飛躍する将来像を描いており、すでにこうした方針を盛り込んだ「早稲田ビジョン150」を策定済みだ。

 

★多言語対応・地域密着で向き合う

 

 教育のグローバル化という課題に取り組むに当たっては、多言語の学習環境をいかに確保するかも重要なカギとなりつつある。

 

 上智大学ではグローバル化しつつある世界への対応を念頭に、2014年度に総合グローバル学部を新たに立ち上げる。地球的規模で日々起こる動きだけでなく、その影響が現実に現れる場である地域の研究を重視し、地域に根ざした生活者の視点から世界的課題に向き合える人材を育てる。同校にはすでに国際系学部として外国語学部や国際教養学部などもあり、これら学部の言語系カリキュラム等との連携も視野に入れる。また理工学部では12年秋から授業、レポート、試験、論文執筆など全てを英語だけで行える英語コースを正規課程の中に設置しており、海外の優秀な理工系留学生の獲得も狙う。

 

 教育内容の国際化を見据えつつ、地域に根ざした大学として新たな「学び」の形を生み出そうとする試みもある。アジア諸国との交流が進む熊本にキャンパスを置く東海大学は、今年度開設の観光ビジネス学科で、地元の観光業界と連携した学生の就職支援態勢づくりに力を入れていく。九州・熊本では、中国や韓国などから多くの観光客が訪れており、アジアをターゲットにした観光ビジネスは将来有望な分野。同校は語学と「おもてなし」を実践的に修得させ、卒業後の「出口」に繋がる教育内容を模索する。来日留学生の間では、通訳や観光ガイド、旅行会社等への就職を希望する者が多く、地元でも一定の人材ニーズがあることから、今後注目を集めそうだ

 

★秋入学の実施でニーズに応える

 

 英語による授業実施や海外における留学生受け入れ拠点の設置などと共に、文部科学省が大学グローバル化の柱と位置づけるのが秋入学制度だ。昨年、東京大学における導入論議が内外で話題となったが、私立大学ではすでに十年以上前から留学生対応などを念頭に先行実施されてきた経緯があり、今年度も留学生向けの特別選抜を予定している大学は少なくない。

 

 2006年から秋入学生を受け入れてきた聖学院大学は、今年も7月末まで留学生等のエントリーを受付中だ。同校は各カリキュラムとも週2回の授業を行い、1セメスタ-(半年間)で完結するセメスタ-制度を採っており、通年採用が一般的となった企業慣行に合わせて学生がフレキシブルに就活出来るよう配慮している。一般的に秋入学のメリットは海外との入学時期のミスマッチを無くすことで外国人が入学しやすくなることにあるとされるが、同校では各科目を集中して学んでいけるため学習効果も高く、入学後伸びる学生が多い要因とも見ている。

 

 国の垣根を越えた国際教育ネットワークを構築することを目的に設立されたIPU・環太平洋大学(岡山県)でも、グローバル社会に対応すべく、今年度より秋入学の留学生を募集する。IPUはニュージーランドの系列大学「IPC・インターナショナル・パシフィック大学」と連携しながら、文化の異なる世界の人たちとコミュニケーションできる能力を養成していく。最近は、日本の大学を卒業後、第三国の大学に「再留学」を希望する外国人学生や、夏期休暇中に大学が実施する短期海外研修に参加する留学生も各校で出始めており、秋入学制度の導入により、こうしたニーズにフレキシブルに対応できるメリットもあるとみられる。

 

★留学生惹きつける新たな趣向

 

 一方、幅広く世界の留学生「予備軍」をターゲットに大学の存在を印象づけるため、前例のない取り組みに乗り出すところも出ている。

 

 立命館大学はかねてから交流のあった中国の大連理工大学のキャンパス内に、同校と共同で国際情報ソフトウェア学部を開設する認可を受けた。日中両国の大学による学部の共同設置は史上初めて。定員100名の内40名は3年次から立命館大で学び、卒業時には両大学の学位を取得できるダブルディグりーのシステムを採る。立命館大は、文部科学省の国際化拠点整備事業(グローバル30)拠点校として4千人の留学生受け入れ目標を掲げており、中国におけるIT分野の一大拠点である大連や大連理工大学との連携により、優秀な理工系留学生の獲得をもくろむ。

 

 国内外の留学生募集に、ひときわユニークな手法を導入した大学もある。亜細亜大学はこの春、大学独自のゆるきゃら「ぽかぽかアジアフロさん」を創り、海外で行われる留学相談会にもイメージキャラクターとして「随行」中だ。ネーミングにはゆったりとお風呂でくつろぐような、リラックスした気持ちで大学に来て欲しいとの願いが込められているといい、留学生支援課の職員が自らデザインした。アジア各国で人気の和製キャラクターが、現地の若者に受け入れられやすいことに着目し、オリジナルの缶バッジやステンドグラスなど特製グッズを多数準備。募集活動の際にも来場者に配布し、好評を博しているという。

 

★利便性を考慮したキャンパスの移転・集約

 

 ところで、留学生を募集する主要大学の間では、外国人を含めた学生全体にとっての利便性を考慮し、交通至便な都心部にキャンパスを移したり、学部ごとに機能を集約しようとする潮流があることは承知の通りだ。同志社大学は昨年来進めてきたキャンパス整備事業を今春完了させ、4月に新設されたグローバル地域文化学部など文系の全学部が、京都市中心部の今出川キャンパスで4年間一貫して学ぶ体制を整えた。拓殖大学は、年次により文京と八王子の両キャンパスに分かれていた2学部を2015年度にも文京キャンパスに全面移転し、いずれの学部も同一のキャンパスで4年間学べる2キャンパス一貫教育体制が始動する。杏林大学も2016年に現在の八王子キャンパスを、三鷹に取得した新キャンパスへと移し、留学生と日本人が交流する国際交流プラザも新たに設ける。学ぶ場所が一本化されることで、留学生にとっては学業とアルバイトを両立していく上で安定的な環境が得やすくなるだけでなく、先輩や日本人学生との繋がりを深める上でもプラスの効果がありそうだ。

 

 本稿で挙げてきた施策以外にも、奨学金制度や授業料減免、日本人チューターによるサポート制度などを用意し、留学生向けに積極的に打ち出している大学は多い。国内の18歳人口が限られてきている中、優秀な外国人留学生をいかに惹きつけ獲得し、高い志と目的意識を持った人材へと育て上げていくか。各大学の「グローバル対応」はこれからが正念場となる。

 

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